独立行政法人国立病院機構 広島西医療センター

病院のご紹介

ご来院の皆さまへ

医療関係者の皆さまへ

採用・募集情報

診療・予約に関するお問合せ

病院のご紹介

腎臓内科

スタッフ

医師

倉恒 正利

  • 日本腎臓学会専門医
  • 日本透析医学会専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本DMAT隊員
  • 日本リウマチ学会
  • 日本感染症学会
  • 日本糖尿病学会
  • 日本アフェレーシス学会
  • アメリカ腎臓学会
  • 身体害者福祉法指定医師(腎臓領域)

初めに

平成25年度に入院診療および外来診療を行なう腎臓内科が新設されて以来、5年目を迎えました。医療現場、医療環境を取り巻く社会情勢は見える部分はもとより、見えない部分でも変化しつつあります。これからも日々研鑽を重ね、時代とともに診療を続けてゆきます。

対象疾患・特徴

腎臓内科が担当する(担当できる)領域とは、「手術を必要としない」腎疾患です。言い換えれば、腎結石や尿路結石、尿管や膀胱、前立腺から尿道にかけての疾病や不具合は、主に泌尿器科の先生方に加療をお願いすることになります。改めまして、腎臓内科の担当する領域の疾患および病態は、多くの場合「初発時に自覚症状を伴わない、もしくは進行しても自覚症状に乏しい」疾患や病態です。具体的には、

  1. 慢性糸球体腎炎や急性腎炎などの慢性および急性の腎障害
  2. 慢性腎臓病および急性腎不全といった腎機能が低下した状態
  3. 血液透析や腹膜透析といった維持透析療法が必要な状態
  4. 二次性の腎障害、つまり高血圧症や糖尿病などの全身疾患によって、もしくは全身性エリトマトーデスや顕微鏡的結節性動脈周囲炎などの自己免疫疾患によって引き起こされた腎障害
  5. 以上の4項目が疑わしい状態

ということになります。

当科は、上記5項目のうち3の「維持透析療法としての外来での血液透析」につきまして、マンパワー不足および設備の不足とから現時点では対応しておりません。しかし、例えば「他院での血液透析患者が当院に入院された場合」には、必要に応じて透析療法をバックアップさせていただく体制は構築できております。また、その他の4項目に該当する疾患および病態におきましては可能な限り迅速な診断を行ない、適切な診療を行うことをモットーとしています。

主な疾患について

1.慢性糸球体腎炎や急性腎炎などの慢性および急性の腎障害

学校検診/職場検診で尿蛋白や尿潜血を認めた場合、その原因が慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)であることがあります。多くの場合では自覚症状がありませんが、時に全身に、特に眼瞼や四肢にむくみを生じ、日常生活に不具合を来すことがあります。自覚症状がなくても、無治療で放置しているうちに緩徐に腎機能低下が進行し、気付いたときには不可逆的な腎障害に至ることもあります。もちろん、現代の医学で全ての疾患をコントロールできるわけではありませんが、早期診断することは治療の選択肢が増えるという意味において極めて重要です。当科では、必要と判断した場合には3泊4日の入院のうえで、腎臓に対する針生検(腎生検;超音波ガイド下経皮的腎生検)という組織検査を行ない、診断と治療に役立てています。

2.慢性腎臓病および急性腎不全といった腎機能が低下した状態

慢性腎臓病は、将来的には透析療法や腎臓移植などの腎代替療法が必要な状態へと進行する可能性があります。しかしその進行速度は原疾患の性質や合併症、また生活習慣や環境により大きく左右されます。当科では、慢性腎不全患者においては「保存期」(=腎代替療法を必要としない時期)を維持することを目標として、診断と治療を行なっています。その一環として、外来での治療に反応せずに腎機能低下が進行する場合には、①安静 ②食事療法の強化 ③「腎臓によくない」生活習慣の洗い出し ④合併症の検索 を目的として、2週間程度の「安静入院」を行なっていただくことがあります。また急性腎不全症例では、原則として緊急入院していただいたうえで腎機能低下の原因診断を速やかに行ない、適切な加療を行ないます。

3.血液透析や腹膜透析といった維持透析療法が必要な状態

先にも述べましたが、当科では「維持透析療法としての外来での血液透析」につきましては現時点では対応しておりません。一方で「他院での血液透析患者が当院に入院された場合」には、必要に応じて透析療法をバックアップさせていただきます。また、昨今は「家庭血液透析」(= HHD)を行なっている施設もありますが、当科で同じく対応しておりませんので、対応できる施設を紹介させていただきます。
腹膜透析療法ですが、当科では当院外科の執刀にて従来法による一期的な透析カテーテル挿入術と、SMAP法(=埋没法)による二期的な透析カテーテルの挿入術との両者を併用しています。また、SMAP法施行後の保存期患者に対しては、外来での透析手技指導を行なっております。腹膜透析療法についてのご質問は、担当医にお寄せください。
腎代替療法には腎臓移植という選択肢もあります。当院では移植手術を行ないませんが、過去には広島大学移植外科(大段秀樹教授)、県立広島病院移植外科(石本達郎部長)に紹介させていただいた実績があります。ご遠慮なくご相談ください。

4.二次性の腎障害、つまり高血圧症や糖尿病などの全身疾患によって、もしくは全身性エリトマトーデスや顕微鏡的結節性動脈周囲炎などの自己免疫疾患によって引き起こされた腎障害

二次性腎障害に際しては、基礎疾患の治療・コントロールが優先します。しかし、「基礎疾患が何か」の診断がつかないことには治療もコントロールも不可能です。当科では、問診や血液生化学的検査・画像診断などの比較的に非侵襲的検査に加えて、必要なら慢性糸球体腎炎や急性腎炎が疑われた場合と同様に腎生検を行なったうえで、可及的に速やかに治療を開始します。

5.多発性嚢胞腎(ADPKD)

2015年1月に、「難病の患者に対する医療等に関する法律(通称:難病法)」の「指定難病」に該当することになった遺伝性の疾患です。難病指定の結果、一定の要件を満たせば医療費助成を受けることが可能となり、これまでは高額な医療費がネックとなっていた「トルバプタン」という内服薬を用いた治療法の選択が容易となりました。「トルバプタン」は病気そのものを根本的に治す薬ではありません。しかし、「トルバプタン」を継続して服用することで「のう胞が増大することで腎臓の機能が低下する」までの時間が長くなり、結果的に慢性腎不全(人工透析)に到るまでの時期を延ばすことが期待できます。なお、「トルバプタン」を服用した場合には、注意しなければならない危険な副作用が生じる可能性があるため、「トルバプタン」を処方できる医師は、講習を受講し終了した医師のみに限定されています。そのため薬局やインターネットでは購入できないのみでなく、どこの病院でも気軽に処方してもらえる薬ではありません。しかし当院では「トルバプタン」を用いた多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療は可能です。

腎生検(超音波ガイド下経皮的腎生検)について

以下は、当院で腎生検を行なう際に配布している説明資料からの抜粋です。

Q1 腎生検(超音波ガイド下経皮的腎生検)とは何ですか?

A1 蛋白尿、血尿、腎機能低下のある患者さんにとって、最もふさわしい治療法を決定するために、腎臓の一部の組織を採取して顕微鏡で評価することが必要な場合があります。「腎臓から組織を採取する手技」のことを「腎生検」と呼びます。
当院では、通常 超音波(エコー)で腎臓の位置を確認しながら(超音波ガイド下)、皮膚を経由して生検針を進めて(経皮的)腎臓の組織を採取しますので、この検査の正式名称は「超音波ガイド下経皮的腎生検」となりますが、以降は簡便のために「腎生検」と表記し説明させて頂きます。

Q2 どのようなときに腎生検が必要となるのですか?

A2 腎生検が必要となるのは主に次のような場合です(以下 略)。

Q3 腎生検を行なわない腎臓病はあるのですか(腎生検の禁忌)?

A3 腎生検を行なわない場合は次のような場合です(以下 略)。

Q4 腎生検はどのようにして行なわれますか?

A4 当院では、主に手術室で行ないます。

  1. 背中が開くように検査着を着ていただいて、止血剤の点滴を受けながら手術室へ入ります。
  2. 手術台で、うつぶせ腹這いになります。
  3. 超音波(エコー)で腎臓の位置を確認されます。
  4. 背中から局所麻酔の注射が行なわれます。
  5. 同じ場所から生検針が腎臓の近くまで進められます。
  6. 術者の指示で「息止め」をしていただきます(合図があるまで、長くて10数秒程度)
  7. 「バチン」という音とともに生検が行なわれて生検針が抜かれます。
  8. 上記の⑤から7の手技を2、3回反復します。
  9. 終了すると、約5分程度の圧迫止血を行ないます
  10. ベッドで手術室を退室しますが、その後は約6時間のベッド上での安静が必要です。ベッド上で、膝立てはできますが寝返りはしないでください。また、穿刺部にガーゼがあてられているので寝苦しいのですが、自分の体重がガーゼにかかるようにしておいてください。
  11. 安静終了の際には、超音波(エコー)で腎臓周囲の内出血量を確認したのちに安静を解除します。

Q5 腎生検の利点は何ですか?

A5 次のような利点があります。

① 正確な組織診断を行なうことができる
② 適切な治療法の選択ができ、治療のうえで不可避の副作用リスクを最小限にできる
③ 疾患の予後(今後の見通し)がつくことで、無用な不安を取り除くことができる

Q6 腎生検の合併症や危険性は何ですか?

A6 次のような合併症があります(以下、中略)。

日本腎臓学会の平成10〜12年の集計では、日本全国で年間に約1万人の方が腎生検を受けています。軽い出血などの合併症が100人あたり2人程度で生じています。輸血や外科的処置を必要とする人は、1000人あたり2人程度です。この3年間で、不幸にしてなくなられた方は、約3万人の中で2人とのことです。

Q7 腎生検が終わったら、何をしてもいいのですか?

A7 腎臓は血流がとても豊富な臓器です。検査後は圧迫止血を行ないますが、その後も安静が必要です。検査終了後、約6時間はベッド上で天井を向いたままの絶対安静が必要です。肉眼的血尿がなければ、腎臓周囲の内出血量を超音波(エコー)で確認し、内出血量が多くなければ絶対安静を解除します。しかし、検査後3日程度はシャワー浴をしないでください。浴槽に浸かる事は、4日程度は避けてください。腹圧をかける動作(重い物を持ち上げるなど)や、激しい運動、腰を急にひねる動作は、腰の「重だるい違和感」がなくなるまで避けてください(目安はおよそ1週間程度です)。
また、それまでなかった急な痛みや発熱、肉眼的血尿が出た時は、必ず主治医に連絡をしてください。

「多発性のう胞腎」はどんな病気?

Q1 日本にはどのくらいの患者さんがいますか?

A1 現在、医療機関に受診している人は約3万人と推定されています。しかし医療機関に受診していない人も含めると、10〜20万人がいるのではないかと推測されています。

Q2 「多発性のう胞腎」になりやすい人はいますか?

A2 成人になって検査して初めてわかりますが、小児の時にはわかりません。また、男女差はありません。

Q3 人に伝染しますか?

A3 遺伝病ですので、伝染しません。

Q4 遺伝しますか?

A4 遺伝病ですので、遺伝します。遺伝形式は「常染色体優性遺伝」です。なお、遺伝形式が「常染色体劣性遺伝」の多発性のう胞腎の患者もいますが、この場合多くは小児期のうちから腎不全や肝不全を発症してしまいます。

Q5 私の腎臓にも袋(のう胞)があるといわれました。私も「多発性のう胞腎」なのでしょうか?

A5 一般に、単発性の腎のう胞であれば、中高年者ならほとんどの健常者に認めます。高齢者では、単発性の腎のう胞を多数認める健常者もいます。ご自分が多発性のう胞腎かどうかについては、主治医の先生にお尋ねしてみてください。

Q6 親が多発性のう胞腎であれば、子供は多発性のう胞腎患者になりますか?

A6 親が患者の場合、子供に遺伝する確率は50%です。これは生まれるときに決まり、兄弟の数で決まるものではありません。例えば子どもが2人の場合、①2人とも遺伝しない、②1人に遺伝する、③2人に遺伝する の3通りの可能性があります。

Q7 「多発性のう胞腎」と診断されたら、安静にしていなければならないのでしょうか?

A7 腹部に衝撃があるようなスポーツ(ラグビー・格闘技など)を除けば、今まで通りの生活をおくられて問題ありません。

Q8 親が「多発性のう胞腎」でしたが、自分も同じような経過をたどるのでしょうか?

A8 「多発性のう胞腎」は50%の確率で遺伝することが分かっています。しかし「多発性のう胞腎」が遺伝していたとしても、症状や経過には個人差が大きいことがわかっています。従って、必ずしも親や兄弟と同じ経過をたどるとは限りません。

Q9 私は「多発性のう胞腎」です。すぐに子どもに検査を受けさせた方が良いのでしょうか?

A9 小児期から高血圧を認めたケースが報告されています。また、患者の 86%に 15 歳で囊胞が確認されたとの報告もあります。しかし嚢胞が大きくなって症状がでるのは、30~40歳代からがほとんどです。健康診断で異常を指摘されたり、症状がなければ、急いで検査を受けることはお奨めしません。子どもが病気について理解できる年齢になってから、本人と相談して受けるかどうか決めるのが良いと思います。

補足;用語解説

慢性腎臓病(= CKD ; Chronic Kidney Disease)

従来、「腎臓が相当に障害された状態」を表現する用語として「慢性腎不全」という言葉が用いられてきました。しかし国際的にも国内的にも定義が曖昧であったために、「疾患を統計学的に解析する」という科学的な手法になじみませんでした。そこで2002年に「原疾患によらず、腎臓の障害(蛋白尿など)あるいは糸球体濾過量(= GFR)が60ml/分/1.73m2未満の腎機能低下が、3ヶ月以上持続する状態を『慢性腎臓病(= CKD)』と定義する」という考え方が発表されました。現在ではこの考え方が国内外を問わず定着してきています。

慢性糸球体腎炎の「慢性」

腎実質には微小なフィルターである「糸球体」と、糸球体の付属装置である尿細管/集合管、血管、リンパ管が存在しますが、大別する時には「糸球体」と「糸球体以外=尿細管・間質(充填材)領域」に区分されます。非感染性炎症、つまり微生物と無関係の炎症が腎臓に起きた場合に、その主座が糸球体であれば「糸球体腎炎」と呼び、尿細管・間質領域に主座がある場合に「間質性腎炎」と呼びます。接頭語の「急性」「慢性」の違いですが、「発病後数ヶ月以内で終息すると予測される」病態に「急性」が冠されます。逆に、「終息までに年余の経過を辿ると予測される」病態に「慢性」がつけられます。従って「急に発症した慢性糸球体腎炎」という、一見 矛盾した表現が成立することになります。

血液透析療法と腹膜透析療法

血液透析療法の原理は「血液を少量ずつ体外循環させて、フィルター(=ダイアライザー;透析膜)にかけて浄化し返血する」治療法です。透析液は、透析膜を介して血液と間接的に接触することで、血中の毒素や余剰の水分、カリウムを除去します。腹膜透析療法は、「透析液を腹腔(=消化管壁と腹壁との間にある空間)に一定時間貯留し、その後に透析液を排出する」治療法です。透析液は腹膜(=消化管壁および腹壁の表面にある薄い膜)を介して、腹膜のすぐ下層を走行する毛細血管の血液から、毒素や余剰の水分、カリウムを除去します。血液透析療法の歴史は50年以上ですが、腹膜透析療法の歴史は30年足らずであり、発展途上の治療ともいえます。両者は一長一短の治療法であり、腎臓移植以外の腎代替療法としては透析患者の個別の事情に合わせて選択されるべきであると考えています。

独立行政法人国立病院機構 広島西医療センター
〒739-0696 広島県大竹市玖波4丁目1番1号 TEL:0827-57-7151 FAX:0827-57-3681

リンク個人情報保護方針サイトマップお問合せ情報公開

(C) 2013 Hiroshima Nishi Medical Center Allright reserved.